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(2000年4月22日〜23日)

 今回はバスツアーを利用した。メインは高遠の桜。というか、これしかない。それと名湯下呂の湯。バスツアーというのは、紅葉の時に経験したことだが、桜なら桜の名所をいくつも訪れるがそれらのピークは決して一致させないように仕組まれていると思う。つまり、同じルートのバスが何回も出発するわけで、そのすべてにどこかの花を見られるような設定にしておかなければ、時に蕾みツアーになったり葉桜ツアーになってしまうから。
 今回は他の桜の名所はこの次自分で訪れるときの参考地といった風情で、高遠以外の殆どは葉桜の領域だった。しかしこれは出発する際に織り込み積みで、そのように心得ていたからと件の不満はない。これで高遠も終わっていたら、ばかばかしいツアーになったわけだけれども、もちろんお客のこちらとしても綿密な計算のもと、この時期ジャスト高遠の桜が見頃という時期をねらい打ちして申し込んだわけで、天候も味方して、おかげさまでもくろみ通りの動きとなり、人人人、つまりは満開の高遠を訪れることができたのです。(桜の開花時期の予想は非常に難しい。弘前の桜があまりにも早くて入場料を取る時期を逸してしまうという、地元でさえも抜かる場合があるのだから。) 

 今回利用したのはクラブツーリズムのG272で、「桜舞う墨俣一夜城・信長ゆかりの弓掛桜・高遠の桜・新境川堤の百十郎桜・名湯下呂温泉へ夜食の旅」という長〜い名前のツアーであった。こうしたバスツアーはともかく安い。普通に泊まったら1泊2食付きの宿屋に払う料金で交通費までついてしまうのだ。
 集合は4月22日(土)、クラブツーリズムではおなじみの新宿工学院大学前の公共駐車場に8時10分。中央高速で諏訪ICまで行き、これもおなじみの昼食場所「おぎのや諏訪店」で釜飯の昼食、オプションで1000円也。則は嫌がったけれども、着いたとたんに温かい食事が出てくるのだから文句はない。それから杖突峠越えをして高遠へ。杖突街道の入り口には「高遠の桜○○○」という表示がある。8分咲きとある。気温も上がっている。条件はよい。期待に胸が高まる。
 しかしそういうことは大渋滞となっていると言うこと。なかなか城址公園に近づけない。カメラの望遠で見ると、高遠の城址公園に入る人の列も停滞気味だ。やむなく、バスを途中で降りて城址公園を目指す。 

 桜の時期だけなのかどうか(おそらくそうだろう・・・弘前城址もそうだったから)、高遠城址公園へ入るのには入場料がかかる。もちろんツアー代金に含まれているが、入り口が複数ヶ所あるので人混みの中ではもとの場所へ戻るというのが結構至難の業となる。場内直前の広くなっているところでまず記念写真を撮る(撮られれるか?)。
 さて我々はバスの駐車場(第9駐車場という城址公園のすぐ下にある駐車場)脇から城址公園に入った。もちろんバスは既に下の方で降りているのでこの時点ではまだ来ていない。果たしてこの人混みの中全員がバスへ戻れるのかとの心配をしつつ城址内へ。ほぼ満開状態の桜の下では既に昼過ぎだったが宴席があちこちで開かれていた。しかしながら地元の家族連れが多いという感じ。大騒ぎになっているところはどこもない。桜の種類は「薄墨桜」ということだが、ピンク色の花弁は染井吉野にまけるものではない。
 我々に与えられている時間はわずかに1時間なのでこの広さでは、勢い駆け足にならざるを得ない。それでも桜・サクラ・sakuraだから、バシャバシャとシャッターを二人とも切り続ける。こうしてあっという間に時間は過ぎて、トイレに入ってから戻ってくると何と少し遅刻。バスは我々を待っていて出発。そうそうこのときにもう集合写真が出来ていて、しっかり一枚購入。

 その後飯田にある漬物屋へわざわざ高速を一旦降りて寄って(こうした日程はやめてもらいたいものだ)から、峠をひたすら越えて、やや暗くなりかけた下呂の町へと入った。暗くなってきてはいたが、川の岸に植えられた桜(そう本数が多いわけではない)が満開を迎えてきれいであった。もうこれで桜については明日は文句は言わないことにしよう、おそらく葉桜ツアーだろうから。

 下呂温泉は大橋のちかくの寿々波という日本旅館。まぁ安いバス旅だということを考えれば充分。旅館の人も親切だった。到着は6時30分過ぎ。早速着替えて風呂へ。風呂は透明で、すべすべした感じ。お客は我々ツアー一行以外あまりいないらしく、順さんも則も殆ど風呂を独占状態。我々が風呂へ入っている間に、夕食を準備してくれた。安い安いと書いているが、飛騨牛のすきやきも申し訳程度にのっていて、まずまずのにぎわいの夕食。夕食の後、再び風呂に入った我々は高遠の桜を夢に早々と寝てしまった。


 翌朝、例によって則の目覚めは早い。渋る順さんを起こして、まず風呂へ。普段家では風呂にはいるのを嫌う則なのに、どうして温泉に行くとこうも風呂へはいるのだろうか。本人の弁だと、無料だからというが、何かよくわからない。
 外が明るくなってきたので、散策に外へ出た。桜があるというので、温泉寺へ行ったが、そう本数は多いわけではなかった。仕方なく河原の桜を見に行くと、露天風呂に地元の人中心だろうか、何人か男の人が入っていた。ここの桜は数日前に満開を迎えたという感じで、ギリギリ見頃を保っていた。
 温泉病院前の河原の桜を撮っていると、写真マニアの人に声をかけられて、写真を撮るならワゴンか何かで自分で来なければダメだとか、写真は自分が良ければそれでいいのだとか、そうした話を聞いた。そうこうしている内に雲行きが妖しくなってきた。急いで橋を渡りかけたが、とうとう真ん中あたりで雨が落ちだした。まぁ昨日の桜と温泉でこの度の目的の殆どを達したようなものだから、満足度は高いものの、なんともうらめしい。後半は駆け足で宿に戻る。
 宿についてしばらく休んでいると朝食の時間になる。朝食場所へ行くと、添乗員さんがお茶を入れてくれていた。そうそう今回は分宿なので、あと2グループはそれぞれ別の旅館に泊まっている。我々の泊まった旅館には運転手、ガイド、添乗員を含めて10数名。朝食はホウバ味噌が美味しかったが、量が少なく後を引いた。よほど腹が空いていたのか?何と則は小さい茶碗ではあったが、ご飯を3杯も食べた。

 バスの出発時間になっても雨は止む気配がなかった。予報では晴れに向かうはずなのだが、山間の天気とはこういうものだろうと観念して出発。しかし、最初の見学場所になる美濃物産館に着く頃には殆どやんできた。ここではトイレ休憩で、記念のキーホルダーを買って出発。

 次の見学地の新境川堤の1000本の規模を誇る百十郎桜へと向かう。ここは降りて堰堤を散策したが、もはやその時期を偲ぶしかない状態だった。しかしながら葉桜になってしまったその両脇の堤に植えられた姿は、さぞやと思わせる量感があった。

 次に墨俣の一夜城址へ。ここには近年建てられた天守閣がある。ここで昼食。予め注文しておいたお弁当を広げて食べる。ここでは完全に桜は終わっていた。一夜城を取り巻く犀川沿いにはこれまた1000本といわれる桜が植わっているのだが、葉桜の域も過ぎていた。従ってここでは本当は100分の予定をおよそ1時間に切り上げて出発。 

 最後の見学地は手力雄(たじからお)神社で、ここは神殿の龍を筆頭にした彫刻と、信長が弓をかけたという弓掛桜を鑑賞。龍の彫り物を中心に写真を撮る。弓掛桜は囲いがしてあるが、民家が迫り無惨な姿。

 さて帰路は長い長いバスの旅。案の定30qという大渋滞に巻き込まれたが、それでも迂回するほどのこともなく、無事に新宿の夜景を見ることができた。これは添乗員の時間配分が良かったせいもある。
 今回の教訓は、直行の高遠行きのバスがあれば、それを使って単純に日帰りで往復する方が良かったと言うこと。下呂の風呂はそれなりのことはあったけれども。


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