第二日目:7月21日(金) 快晴
(朝)昨日はやや寝にくい夜を送った。ホテルの外は或いは空港へ続く幹線道路なのだろうか?車の音がペアガラスの割りには聞こえてきてうるさかったり、旅の興奮や疲れすぎた体も影響したのだろうが、何度か目を覚ました。
6時20分ころ山の端から日が昇ってきた。順さんはご来光ご来光と言って手をたたいて拝んでいる。外気はひんやりと肌に心地好く半袖で丁度よい。こうしてスイスでの初めての夜明けを迎えた。
7時ころ恒例の散歩ということでホテルの外へ出てみる。横にマックがある。ビックマックセット(のようなもの)で邦貨約700円。けっこう高いが、お客の数が違うから仕方がないのだろう。そうそう概してスイスは物価が高かった(500mlのコーラなどが170円〜200円する)。ここでホテルの外観を入れて記念写真をとる。後、GPSのテストをする。受信状態はあまりよくなく、最初は日本でないと使えないのかと思うほどだった。山間だと取りづらいのだろうか。道路ぎわに何種類かの花が咲いていたが、ハマナス、ラベンダー、紫陽花、あかつめくさなど日本と同じような花が多かった。
部屋に戻ると7時25分にモーニングコールあり。ただ電話のベルが鳴るだけの味気ないもの。朝食はコンチネンタルスタイルで、パンとハムだけのこちらも味気ない。
(道の両側は)集合は9時だったが、実際みんなの集まりが早かったために、少し早めに出発した。今回は最後まで集合時間は厳守の旅だった。高速までは日本と同じような風景が広がる。山頂まで密集している住宅、道路もけっこうな混雑。おまけに道の両側の建物には日本でもよく見られる落書。その多さにはびっくりした。自然を愛し、ごみの分別も徹底している、多分にきれい好きな民族と言うイメージとは程遠かった。やはり都会の若者の心はすさんでいるのかと思わされた。それからしばらくは北海道を思わせる風景の中を走る。広い草原、麦畑、時折見られるとうもろこし畑、花壇にはグラジオラス。山近くになると杉の木が多くなり、これまた日本の山間部を走っている気にさせる。ところで、車の後にナンバーとは別にスイス国旗と州の旗のマーク、アルファベットのシールも張り付けてある。このシールはその車の国籍を表す物で、スイスはCH、フランスはFと、大陸続きのヨーロッパならではのことか。
(リヒテンシュタイン)バスに乗って約2時間、最初にリヒテンシュタインを訪れる。一応の国家なのだが、国境のライン河を何の検閲もなく通過して、隣の街に入るような感じで入国。当然入国スタンプもないので、我々は自由時間にわざわざインフォメーションまで行って一人2CHF払ってスタンプを押してもらった。そう通貨もスイスフランなのだ。切手が有名なのだが、あまり触手は動かなかった。もっともこの切手さえもスイスの印刷技術の賜とも読んだことがある。代わりに自動現金換金機(?)があったので、さっそく則は1000円なりを換金した。レートは空港よりもよく、15CHFになった。この町はホテルのような大きな建物をやたらと建築中で、観光客を当て込んでいるのだろうけれどそれにしても多すぎないか?と心配になった。
(ハイジの泉)そこから20分ほど走って着いたのはハイジの泉と称される場所。ここで則は日本語のハイジの本を買う。友人の奥方がハイジに似ているからだというが、ここのハイジは日本のアニメのイメージとはほど遠い。このハイジの泉と言うのは、地元の子どもたちが寄付を募って建てたとのことだ。せっかくのその子どもたちの気持ちだが、多くの日本人観光客と同じように、我々もその場へバスを停車してハイジの泉を見て風のごとく去っていった。
昼食は近くのハイジホフ、まぁ訳さなくてもよいだろうけれどもその名もハイジの家と言う場所で昼食を食べた。ビーフ料理と言うことだったが、マカロニにミンチされた肉を乗せてあるだけのもの。ミートソースと言う感じ。付け合わせなし。前後にスープとデザートのムース崩れのようなものがでただけ。当然、我々はワインをのむ。フルボトルはなく500mlにする。20CHF。
ここの高度、870m。気温28、1度。(則の計測による)
(これぞスイス・・感激ピッツゴルヴァッチ)約2位時間ほどまたバスに揺られて、今日のハイライト「ピッツコルヴァッチ展望台」へ向かう。バスは途中までアウトバーンを走り、それからサンモリッツへ向けての峠越えに入る。この道が整備はされているもののけっこうきつい坂やきついカーブの連続で、則は少々気持ちが悪くなるほどだった。峠を越えてサンモリッツ周辺の湖沼群へ向かって下り始めると、やがてロープウェイの駅が遠くに見えてきた。見上げるとロープウェイは雪の頂のかなたに消えている。
ロープウェイは2段階になっており、最初のものは何人乗りなのだろうか、巨大なものだった。途中で乗り継ぎ、更に上を目指す。最初のもそうだが、鉄塔を通過する際には大きく揺れるので、そのたびに悲鳴とも歓声とも分からぬざわめきが起きる。
こうして我々は360度の視界を手に入れた。高度3303メートル。我々の人生の中で最高地点に今立ったわけだ(これはこの旅でもちろん更新されることになる)。その眺望は絶佳に等しい。雪を頭に抱きながら天を突くようにそそり立っている山々。しかしながら一つだけ残念なのは、その高峰たちの名前が定かではないという点だ。展望台には日本でもあるそれと全く同様に、山々の形と名前を表示した説明板があるのだが、どうもあまりはっきりとは分からない。山々が重なり合って遠くの高峰まで手にとるように見えているということでもある。そのことはしかしながら我々のシャッターを押す回数を制限する理由には全くならなかった。それにしても、我々は長袖でしっかりと防備しているのに、水着で日向ぼっこをしている女性がいたのにはびっくりした。(則の計測によると16.7度)上の写真の一番右の三角ピークは「Piz
Roseg 3931m」その左のふたつに割れている右側の部分の真ん中のピークが「Piz
Scerscon 3971m」で左側の部分のピークがベルニナ連山の主峰「Piz
Bernina 4049m」で、たぶんその下を流れるのを「Biancograt」氷河というのだと思う。
(サンモリッツ到着)与えられた20数分は瞬く間にすぎて、帰路に着いた。下山してからサンモリッツのホテルまでは10数分で到着した。あの感動から下山時間を含め30分程度(実際は乗り遅れた人がいたのでもう少し時間がかかったが)でホテルへ着くのが信じられない感じだ。
ホテルはスパエリア(サンモリッツ・バート地区)にあるもので、例外的だろうが、日本人観光客を意識したサービスを行っている。疲れて見なかったけれども日本語のテレビ放送や朝日新聞の海外版(有料)などを扱っており、チェックインの際の説明書も日本語だった。またテレビには、これはドイツ語だから中身は判らなかったけれでも、その字幕にhonkawaという表示があり要はウエルカムメッセージを表示しており、こうした日本人好みのサービスにも徹している感じだった。ホテルの中は日本人だらけだった(この日本人だらけはこの後も続く)。
さて諏訪湖などでもそうなのだが、ここサンモリッツも盆地の中の都市なので、乾燥が著しい。30パーセント台の湿度であり、旅行鞄に触れると二人ともバチッと言う、あの日本の冬の経験を味わうことになった。また喉が乾くし、手もかさかさしてくる、それくらい乾燥しているのが判る。このかさかさ感はサンモリッツが一番だったように思う。
夕食はホテルを出て、サンモリッツ鉄道駅の山の手(サンモリッツ・ドルフ地区)にあるレストラン、ステインボックに行った。農家をイメージしたような作りのレストランだった。入り口に日本語で歓迎の言葉が大きく書かれていたのには驚いた。しかし、どこへ行っても日本人団体にでくわすのだから、これも然るべきなのだろう。ここで西洋鱒のバター焼きアーモンド載せ(フィッシュソテー)をメインディシュとして食べた。当然ワインも。今回は白。ところで、また500mlボトルだった。どうやらこちらでは500mlボトルが結構あるらしい?
ホテル:ヨーロッパ ★★★★ 119号室
ゆったりした部屋にツインのベッドと応接セット。室調は木目を生かして落ち着いた感じになっている。バスタブも大きくゆったり。