四日目:7月23日(日) 曇り後雨後晴れ 朝の気温14度

 (朝のマッターホルン)朝は5時に起きて6時には散歩に出るというわが家の習慣にのっとって、本日も朝の散歩に行く。昨日のビューポイントへ行って、またマッターホルンを写す。残念ながら今日は頂上に雲がかかっていて全部を見ることはできないが、それでも十分に鑑賞に値する。しかし、それにしても、出会うのはほとんど日本人。こんな風に朝の散歩なんていうのは日本人しかしないのかも。その日本人が沢山集まっているポイントがあるので、多分と思っていってみると、やっぱりそこがマッターホルンをきれいに見られるところだった。そこで何枚か写真をとってホテルに戻る途中、妙高高原と姉妹都市になっているという記念碑があった。よく見ないと見過ごしてしまうほど、それはひっそりと立っていた。次に教会。そしてまた則は当然のようにキリスト教の信者に変身した。
 次は、ホテル「モンテローザ」へ立ち寄る。このアルプスの名峰を冠したホテルには、マッターホルン初登頂を果たしたウインパー卿のレリーフがあるのだ。これもあまり目立たないせいか、人々に関心がないせいかほとんど通り過ぎていく。
散歩から戻って朝食。今日もパンとチーズとハムとコーヒーというだけのヨーロピアン・スタイル・メニュー。お昼はおむすびだと言うから沢山食べようと思ったが、あまり進まなかった。

 (うおぉぉ目の前にマッターホルン)その後、少し荷物整理をしてから、9時36分の登山電車に乗ってゴルナーグラートへ向かう。これは絶対に右側に座ること、と思っていたのに、混雑していて、やっと座ったのは左側の席だった。それでも、マッターホルンはよく見えた。相変わらず頂上付近には雲がかかっているが、見応えが十分ある姿に変わりはない。途中で右側席の人が降りたので直ぐに移動。やはりこちらのほうがよく見える。何より他人に邪魔されないで写真を撮れるのがいい。電車が登っていくにしたがって、角度の違うマッターホルンに会うことができた。高度を上げ裾野まで見えるようになると、これは素晴らしいの一語に尽きる世界が広がった。端正なとがった三角形の頂上を支えるように裾野に大きく氷河が広がっているのも見ることができた。
 ところで、始めて乗る登山電車。これほど急に昇るとは思わなかった。多いところでは40度近い傾斜があるのではないだろうか。乗っているとさほどには感じないが、すれ違うときに相手の傾斜の大きさにびっくりする。アプト式でエッチラオッチラ、思わずご苦労なことだと言いたくなる。所々に雪除けのシェルターがあり、これはこれで絵はがきの写真に使われたりしている。また、日本語の案内放送もある。

 (コルナーグラードは雲の中)さて、ゴルナーグラード(3090m)に着いて10時20分から11時00分まで自由散策。先ず初めに団体写真を撮ろうということになった。20CHFで、購入者には他にスナップ写真を1枚サービスすると言うので、みんな買うことになった。で、どういうわけか、大型犬が重要な役割を果たしているのだ。何故これが必要なのか判らないが、アルプスには大型犬、と言うイメージなのだろうか。ハイジのように。と思っていたら、知らないとはこういうもので、後で聞いたところによると、これは救助犬ということだった。首にぶら下げている袋には、救助に必要な薬などが入っているのだそうだ。そういえば、阪神大震災のとき、スイスから救助犬が派遣されてきていたように思う。これはスイスのイメージを代表するものなのかもしれない。
 その後2人でふらふら。モンテローザ(4634m)の上にも重い雲がかかって、頂上を見ることができなかったが、ゴルナー氷河はバッチリ、そして多分これがリスカム(4527m)と思われる山も一応は見えた。とにかく山と山の間を河が流れるように氷の道があり、氷河とはこういうものかと十分に納得させられ、十分に堪能したが、風が強くあまりにも寒かったので途中からはオーバーズボンとヤッケで完全防備での見学となった。写真左の雲に隠れているのがモンテローザで右の氷河はゴルナー氷河だと思う。

 (ハイキング 始めよしよし 後はザー)見学時間が過ぎるとまた電車に乗り、一つ下の駅であるローデンボーデンまで下り、さあいよいよハイキングだ。マッタホルンや高山植物を見れるぞ、と期待の大きいコースに胸が躍る。出かける直前に日本で購入した杖の出番がきた。これは順さん用に今回の旅でわざわざ購入したグッズ。
 11時30分から現地ガイドさんについて歩き始めたが、マッターホルンはやはり頂上が見えない。そのうち、そのうちと思いながら、まずは下り坂。これが半端な下りじゃあ無い。電車で登った分を下るのだから、こんなものなのかもしれないが、けっこう足に来る感じだ。
 とはいえ、5分もするとリッフェルゼーに着くが、あいにくと風もあり、はっきりしない空模様で名物「逆さマッターホルン」もご覧の程度。代わりにリッフェルゼーの横に聳えるリッフェホルンと周りに咲いているワタスゲと鱒の一種だという小さな魚の大群は見ることができた。
 ここを後にするあたりから周りには小さな花が沢山咲いているのが見られるようになる。大群落というわけではないが、けっこうそこここに咲いている。ただそのいずれもが小さすぎて、腰を屈めて見ないとどんな形態なのかよく判らない。なのに、ハイキング・ガイドさんはけっこうな速さで進んでしまう(この理由は後でわかったが)。順さんはそれでは写真が撮れないと言って、列の一番後ろについて自分のペースで写真を撮りながら進んで行った。ただ、これはガイドさんの説明が聞けないので、一長一短というところか。その代わりに則がビデオを回してその説明をとっていた。
 しばらくすると、アルプスアザミというでっかい花があった。野あざみのようにきれいな色をしているわけではなくただ大きいというだけで、説明がなければとても花とは思えない代物だ。ただ、悪環境に強いのか、岩場のような所にこれから先も沢山見かけた。徐々に色とりどりの花が沢山見られるようになったので、名前は後で調べることにして、とにかく写真を撮りまくった。
 などということをしていたら、俄に空模様がおかしくなり、やがて雨とも雹とも思えるようなものが降ってきた。初めの休憩所(つまり一駅先)は近いからいいが、その後更にいくのは不安になるくらいで、おまけに雷まで鳴ってきた。おそらくハイキング・ガイドさんはこの天候の変化を予想しての競歩ハイキングだったのだろうと後から思った。

 (ツェルマット観光)と言うわけで、後半のハイキングは中止し、やって来た電車にともかくも飛び乗り、ホテルのロビーに戻ってきた。車内はぎゅうぎゅう詰めで蒸し風呂状態。こんなところで日本のラッシュアワー状態を味わうとは思いもしなかった。雨の中を歩いたので、くたびれが増した感じだった。早速お湯を沸かして、本来ハイキングで食べるはずだったおにぎりを食べた。内容はまぁ普通のおにぎりと思えば間違いない(その後聞いたところ同行の人々には評判がよくなかった)。ただお値段が3個で1500円というのは、いくら物価が高いスイスと言えども、割高感は否めない。
 食べ終わってから山岳博物館へ行く。しかしながら、ハイキングに同行したガイド氏が14時からと言っていたにもかかわらず16時からで、あきらめて出直すことにした。が、倉庫街があることを思い出して、そちらへ寄り道。
 細い路地に数件、昔ながらの倉庫が並んでいる。たぶん、今は使っていない物を観光用として残しているのだろう。この売り物は石で作ったネズミ返し。日本のと比べると大きい。あんなに大きい石をきれいに丸にしてあるのには感心した。近くに薄い石が沢山積み上げてあったので、たぶんに石の豊富なところなのだろう。そういえば、この石、屋根瓦の代わりに使われているのをこれから先しばしば見かけた。その後一端休憩してから、16時になったので再びトライ。途中道端でホルンの演奏があったので、しばし鑑賞。いい音色だ。
 山岳博物館は1階は山岳、特にアルプスの遭難の記録を集めたものが中心で、マッターホルン初登頂時の悲劇の物語は特に一室を設けて解説されている。例の疑惑?のザイルの切断部分もである。順さんがここへ来たらこれを見なくちゃ、と言っていたものだ。2階はツェルマット村の歴史博物館のようなところ。則が一番興味をもったのは蓮台のようになった山岳登山用のもので、その昔軽井沢でも同様のものが使われていたと記憶する。金持ちは何処の国でも贅の限りを尽くすものと見える。ここの料金だが我々が日本で調べたときは3スイスフランだったが、かのガイド氏は4といいそして実際は5フランであった。くやしいので、ビデオはよいかと切符売りのおばさんにきいてから撮影を始める。掲載の写真もその許可のたまもの。また日本語の資料も購入。
 帰り道、日本人の店員のいる土産物屋で何かと漁ったものの結局食指が動くものが無く、日曜日なのに生協(coopと表示あり)が開いていたので、そこをちらっと見てからホテルへ戻り再び休憩をとる。

 (休憩と夕食)則が頭を洗って、それから少しお互いにボーッとしていて、6時30分になったので明日のために荷造りをしていたらいつの間にか7時過ぎになり、あせって夕食へ出かける準備をした。順さんが旅行のために準備していたものを着ないと言い出して急に着ていくものを変えたので、あせったが何とか間に合った。結果的には年長のご婦人が着飾ってきたので、彼女に注目が集まってその判断はよかったのだと思う。
 食事はイタリア系のレストランで、オプションのオイルフォンドゥーであった。前菜の野菜がバイキングスタイルなので、ようやくここでこれまでの野菜不足の憂さ晴らしに沢山野菜が食べられた。肉は約150グラムあり、ご婦人方が比較的残したので、わが家はしっかりその分を頂戴した。まったくこずるいやつらだと思う。ワインはここで初めてフルボトル。スイスワインだったが、美味しくいただいた。まだ少し若いワインだったが、ミディアムボディーの感で、35CHFは日本人の感覚では安い。その後もだいたいワイン1本は昨年か一昨年のものであればこの程度であった。あいにく帰りは雨だったが、明日の朝の天気の回復を期待しておきたい。マッターホルンが、困ったーホルンにならないように祈るばかりだ。
 10時前にはホテルの部屋に帰り、10時30分ころ風呂に浸かった後、寝る。ホテルは昨日と同じ。

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