第五日目:2002年12月29日(日)


○起床(05時00分)・朝食(06時30分)
 今日の日程はすこしきつい。4時過ぎに起きて、5時頃から日記を書いて、6時に朝食へ。だが食堂は真っ暗だ。しばらくしても開く気配がないので、フロントに一体何時に開くのかを尋ねにいくと、フロント派の係は電話をしてくれた。しかし何度もならしても出ない。そこでもういいからと言って、部屋に一旦戻ることにする。戻り始めると一人ボーイが出てきて、用意らしきものを始めた。しかしそれでもまだまだ始まりそうもないので、一旦部屋に戻り、30分後に食べに行く。
 再び来てみると既に何人かが朝食を摂っていた。朝食はヨーロピアンスタイル。普段朝食を食べないのだから、こんなもので充分だ。少し甘味を摂る。
 部屋に戻ると丁度朝日が昇る頃で、眼下のオアシスの町を朝日の光がやさしく覆っていた。

○ランクルで駅へ(08時50分ホテル発・09時50分駅着)
 今日は連泊な分は楽だが、明日に備えて荷物の一つを仕上げる。その後出発の準備をして、玄関の外へ出てみると既に何台もの4駆の車が停まっていた。我々の団体にはランドクルーザーが割り当てられており、私たちはその4台目(5人ずつ5台に分乗・23人の客に添乗員と現地ガイドで25人)で、出発。およそ1時間で駅へ。途中は舗装道路だ。昨日走った道を少しだけ戻る感じ。昨日暗くてわからなかったが、「ラクダ横断注意」とでも言うのだろう、そういう標識もあって場所柄だなぁと思う(車の後部座席でしかも高速で走っているので写真を撮るのに苦労した・・・ついでに言うと写真でもわかるように我々の乗った車はフロントガラスにひびが入っており他の車と見分けるのに便利だった)。
 着いてみると既に列車は停まっていて、なんと自由席とのこと。既に殆ど列車の席は埋まっていた。私たちは仕方なく、(実はこの列車客車の中身がそれぞれで異なる)一番先頭部分に連結されている固い椅子のついた、窓の小さな、おそらくは家畜などを運ぶ貨車を改造したと思われる列車に乗り込んだ。その後は席を確保しておくために、ずっと長い間待たなければならなかった。かなりの数の立ち見?が出るくらいに、ぎゅうぎゅう詰めになって。列車は定刻10時30分を15分も回ってようやく出発した。

○観光列車「赤いトカゲ」
 我々の乗った列車は全体がやや黒っぽい赤で塗装をされている。それが線路をくねくねと進むので、その名が「レザー(トカゲ)・ルージュ(赤)」と名付けられている。10時45分発射。
 丁度今日が日曜日ということもあるのだろうか、沿線の道路には市が立って、布や果物など様々なものが道沿いの即席の店で売られていたのが最初に目に飛び込んできた。
 しばらくはリン鉱石の街の中を、リン鉱石を砕いたりする施設を横目に列車は進むが、10分くらいすると砂漠に出る。渓谷というが、要は荒涼とした乾燥地帯の山の中。20分を過ぎると列車は連続して2つのトンネルを通過する。するとまさしく渓谷というのふさわしい景観が見えてきた。ここで写真を撮りたいなぁと思っていると、列車は速度を落とし、崖の上に停車した(11時05分・1回目の停車・渓谷を見下ろす)。その細い崖の所に観光客は下りて、写真タイムだ。そこへ満員の、立っている人までいる観光客が降りるのだから、けっこう危ない。すれ違うのも結構面倒だし、なにしろ相手も写真を撮っているのだから、なかなか動くわけではない。
 列車は再び走り出した。トンネルを抜ける瞬間がどうも景色がよい。2度目に列車が停まったのは大きな岩山のあるところで、行ったことはないのだがアメリカのグランドキャニオンに似ているという景観(11時30分・2回目の停車・断崖を見上げる)。ここは広い場所に停まったので、おおかたの人間が下りて観光をした。しかしながら、いい景観の部分は逆光で、なかなかうまい写真にはならない。(左も実写だが、どうも週刊誌からとったような写真になってしまった。)
 長いトンネルを抜けて、リン鉱石の採掘施設が見えてきて、何本か列車の線路が見えてくると、3度目の停車。そこが駅で、終点である。11時45分着。終点といっても、もともと観光用ではないので、他の所同様に、プラットホームがあるわけではなく、線路脇に降り立つ。そこからまたランクルに再び乗る。おおかたの観光客はまた同じ列車で折り返して戻っていった。

○昼食
 昼食はタメルザパレスにて12時45分から14時10分まで。メニューはサラダ、シシカバブ、デザート(生クリームナッツ)、赤ワイン16D。
 ランクルの停まっている場所までは線路脇を少し歩かなければならない。やがてランクルに乗って走り出すと、荒涼としている世界が目の前に(正確には後部座席に座っていたから目の脇か?)広がり出す。以前乗ったように道なき道を進むわけではなかったので、そう揺れる心配はなかった。しかし埃がすごい。まぁ強制的に車の順番は決定されたわけだが、出来れば1番先頭を走りたいものだ。時には目の前は何も見えなくなる。
 およそ1時間ほどで、ホテル(タメルザ・パレス)のレストランへ。ここはその眺望がすばらしいことでも有名だ。我々は先頭にいたので、一番良い席を確保したが、どうしてもそこに座りたいというわがままな人がいて、その次の席になった。順さんに言わせると、席に着く前から、彼女の背中を押していた、この人は何をするのだろうと思ったそうだ。この婦人の身勝手な行動はその後も目に余るところがあった。さて、それでも窓際だったので、眺望はよい。我々の席は二人がけだったので、ワインを頼んで、我々だけで楽しむことが出来た。まぁそれもよいとした。

○ミデス(14時25分から14時35分まで)
 昼食後最初に訪れたところは、ミデスという渓谷。ここはイングリッシュ・ページェントという映画の撮影に使われたことで有名なのだそうだが、映画をあまり見ない則にはピンとこない。まぁV字に深くえぐられた谷の片側の上から、おそるおそる谷底を覗いて楽しむ場所だ。則は怖かったので、谷底に向かってタイマーをつけたデジカメを、三脚をのばして谷に向けて写真を撮影した。
 ここには少しだけ土産物屋があったが、開店休業状態だった。

○滝(14時55分から15時15分まで)
 ホテルの前を通過して今度はホテル玄関を背にして右の方へ進む。しばらくいくと、細いながらも水の流れが見えてきて、水性の植物(葦)が繁茂する脇を走り、程なくしてランクルは停まった。実はこの滝に来る前に一つの廃村を通ったということだが、気がつかなかった、廃村と書いたが、この地方は1969年に大洪水(土石流のようなものか?)で、ベルベル人の多くの村がこうした廃村に追い込まれるような、壊滅的な被害を受けているという。
 滝に近づくと、打楽器の音と歌声が聞こえてきた。滝の見物に来ていて、騒いでいるらしい。その方角へ下りていって、写真を撮った。滝と言ってもそう大きなものではない。が、こんな砂漠地帯に存在するというだけで貴重な見物なのだろう。おみやげ屋さんも沢山並んでいて、一大観光地であることが伺える。

○ジェピカ(15時30分から16時10分まで・・・廃村、泉、滝)
 ジュピカも廃村になった村の一つだ。その脇に新しく現在の村が作られている。村の背後にある岩山に登ると、その両方を見ることが出来る。廃村になった理由は、どうも洪水というが、その部分もあろうが(おそらくは土石流か)、その家の構造にあるようだ。廃村になったところはおしなべて、天井が欠落している。雨がそう多くは降らないこの地方では、天井の構造も簡易で、ナツメヤシの葉を幾重にも葺いたもので作られていた。だから、大量の雨が降れば、それらはたちまちのうちになくなり、家の体を無くすわけだ。しかし廃村もこうなれば観光資源だ。たくましさを感じた。
 岩山から反対側に下りて、湧き水が湧いている泉(といっても単に岩の間から水が流れているだけの所)と、そこからの流れが小さな滝になっているところを通り、岩山を迂回する形で、ランクルに戻った。

○日の入り 17時10分から17時30分
 先にも書いたように、今回のランクルは未舗装道路を走るという感じで、それまでは以前味わったような天井や車のサイドに体をぶつけながら乗っているというような走行をすることはなかった。しかしながら、未舗装道路から右に折れ、順さんの言によれば我々のカーチェイスという言葉を聞いたためではないかというが、突然我々の乗った車が特に激しく走り出したのだ。そう、かつて車同士が競争したように、あの経験がここで再現されてしまった。
 やがて車は一気に砂山に駆け上がった。映画「イングリッシュ・ペイジェント」で、ラリーシーンで、車が転倒してしまうその場面の撮影場所に出る。そこからさらに次の山へ行くと「スターウォーズ」の撮影場所というか、砂漠に作られたセットが遠望された。そこからまた山を駆け下り、セットを見学し、いよいよ日の入りを待つことになった。少し時間があったので、用意してあったペットボトルに砂を詰めようとしたら、なんと肝心なボトルがない。順さんはお冠で日の入りを撮影し損ねた。(それでも砂はポリ袋に入れて持ち帰った。焦って持ち帰ったので、その量の多かったこと。500ミリリットルのペットボトルに入れたが、半分以上捨てた。)

○ホテル着 18時00分
 そこからホテルまで、また砂漠の中の未舗装道路を走った。およそ25分くらいで一般道へ出た。気がつくと町中を走り、少しでもうホテルの門だった。つまりネフカのこのホテルからは結構近いところに、砂漠が広がっているのがわかった。

○夕食 19時30分から20時40分
 バイキング形式、白ワイン15D ビール3本11D(チップ込み)。
 夕食の時に待望のトランシーバが後発のツアーで運ばれ、それを現地の旅行会社の人が夜を明かして運んできてくれたことがわかった。

○就寝 21時30分
 風呂に入って予習をして寝る。


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