上海近郊水郷巡



 今回の旅はいつもとは違う旅の決定だった。H社のパンフレットを見ていたnoriが、「上海と水郷めぐり5日間 ¥29.800」というのを見つけ出してきた。全食事付きである。もちろん、燃油サーチャージ分や空港手数料は別だが、格段の安さといってよい。もちろん、こうしたツアーに有りがちな①出発や到着が尋常でない時間帯、②お土産屋さん巡りをさせられる、③オプション多数、④現地ガイドのみで添乗員なし・・・という四要素(って勝手につけた)はばっちり備わっている。でも安い。土産を含めて二人で10万くらいの旅行だった。(ただし一部手持ちの元があったので、相当これに助けられたのだが。)
 ともかくも、一つ世界遺産が増えるという要素は重要ではあったが、激安といってよい旅行費用が決め手の旅行だった。

 今回初体験だったのは、日本航空の団体旅行者にも恩恵のある72時間前Webチェックインシステム。72時間前からだが、Web上で座席指定が可能である。これは好都合だった。格安旅行であるから、先にも書いたが出発がきわめて遅い。しかしながら、すぐにボーディングパスが調達できた。つまりは、ぎりぎりに成田に到着しても、座席は確保されているからのんびりとしたものだった。
 復路も同様だったので、しっかりと往復とも窓際の席を確保した。

 ともかくも、土産物巡りを我慢すれば格安の旅だった。集合時間はゆっくりなので、noriも二時間休暇を取れば、間に合った。おそらくは最後の現行スカイライナーに乗って成田に到着した我々は、定刻にエプロンを離れた機体とともに、上海へ向かった。

 現地係員の人は比較的若い女性だった。あまり日本語は上手ではなかったが、ある意味熱心な人だった。日本人の扱いに慣れている反面、大陸的なおおざっぱさを兼ね備えていた。

 その彼女から面白い話が聞けた。
 第一は、出稼ぎにいわば来ている彼女だが、夫とともに暮らしているマンション(と表現していた)が上海万博の前に、外壁塗装が政府の手で無料で行われたという話。つまり、中国政府は体面を保つためにここまでやっていたのだ。おそらくは、強制立ち退きがあったりした北京(のオリンピック)はもっと徹底していたのであろう。そこまでするかという感じが正直した。
 第二は、そのマンションの外壁塗装で、その価値が上がって非常にラッキーだという指摘。このほかにも、彼女の口からはよく投資の話が出た。土地の話、そして株の話。中国は共産主義国家ではなかったのか。人民がこうした一攫千金にうつつを抜かすようになって、労働者の王国は作れるのだろうか。
 第三は、女性上位の話。これは同里観光の時のガイドも同様の趣旨を述べている。現地係員は、男性はまずマンション(鉄筋コンクリートの集合住宅の一軒の意味)がなければ結婚が俎上に登らない、更にローンがあるのもだめだ。・・・・中国政府の要人が男が多いのも気になるのだが、彼らの発言の真実はどこにあるのかはかりかねた。そこまで現実主義が横行しているとも思えないのだが。

 今回は世界遺産「蘇州古典園林」の中の、留園と退思園の二園を訪れるのが表向きの目的。しかしながら、格安観光の常ならん、残念ながらけっこう駆け足の観光になってしまった。

 それでもラッキーだったのは、ほんの一時激しい雷雨に旅程を阻まれたが、曇りがちであったが、まぁまぁの天候に恵まれたことだろう。旅が近づいてくるにしたがってわかって来たのだが、上海は日本同様にこの時期は梅雨の季節だった。
 疲れた駆け足の旅行だったが、所期の目的は達したし、まぁ満足のいく旅だったといえるだろう。