3-1 朝
体がまだこちらに馴染んでいないということもあってか、疲れているのに余りよく眠れなかった。
朝食はみんなで行きましょうということだったので、それまでにできることは仕上げたが、今日は連泊なので、そう神経質に荷物整理をしなくてもいいので、気は楽だ。
早く行かないと座れませんというので、少し早めに到着したのだが、思ったよりも空いていてすぐに食事にありつくことが出来た。が、メニューは寂しい。2日間とも同じだと参るなあと思いながら皿に盛りつける。
食事の後また湖畔へ出てみた。夕べはかなり冷え込んだらしく、道には霜が降りていた。途中の道で、今日はエルクを見かけた。
ちょうど朝日が昇るときで、既に何人かの人が集まっていた。湖面には靄がたちこめて何か神秘的な感じさえする。徐々に日は昇り始め、完全にその姿を見せたとき、いつものようにjunは柏手を打って旅の安全を祈願した。
3-2 イエローストーン観光
イエローストーンに降った雨や雪は、約500年かけて地下深くしみ込んでゆく。3000m以上地中に下りると、260℃以上の高温で熱せられる。しかし、高圧のため気化することができず、岩盤の割れ目を通って急上昇する。こうした現象は園内に1万あるともいわれ、世界一の集中地域になっている。
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3-2-1 ウエストサム(0922~0955)
最初は予定にない観光場所だ。今回のガイドさんは、とにかくアメリカが好きでたまらないようで、少しでもそのいい所を客に見てもらいたいという気持ちが強く、この後もプラスでいろいろな所へ連れて行ってくれた。「いいでしょう」「たまらないでしょう」というのが口癖だった。
ここはたくさんの温泉が湧き出している。イエローストーンレイクの湖畔にあり、しかも湖面をバックにしているので、少し違った雰囲気を味わえる。それらの間を木道を歩いて見て行く。いろいろな色が見られたが、深さや温度、バクテリアの種類によって色が違うのだそうだ。驚いたことには湖の中にも湧き出したプールがあることだ。
ここで有名なのはブラック・プールとアビス・プールそれにフィッシング・コーンの三つ。
ブラックと名付けられているから、付けられた当時は黒いプールだったらしいが、ある日突然に、熱水の温度が変化し始め、従来の黒色を形成していたバクテリアは消滅し、その後はブルーに輝く美しいプールになったそうだ。
アビス・プール。Abyssは辞書を見ると深淵という意味で、その計り知れない深さからアビスと名付けられている。煙がもうもうとたちこめていてなかなかその姿をとらえるのは難しい。じっと風向きの変わるのを待って、シャッターを押した。
フィッシング・コーンは、昔釣り人が釣った魚を、沸騰するコーンの中で茹でて調理したと云われている。湖の中にあるから不思議だ。
他にも、月のクレーターのようになっている一帯もある。それら全てがきれいな地域を形成している。このエリアだけでも、何時間も楽しめるエリアだ。
3-2-2 ガイザーカントリー(1030~1430)
このエリアは、アッパー・ガイザー・ベイシンとか、オールド・フェイスフル・アリアとも呼ばれている。ここにはオールドフェイスフル・ガイザーをはじめとする多くの間欠泉がある。また、モーニング・グローリ一・プールに代表される水が溜まってプールになっているものも多い。温度や含有物質によってさまざまな色があるのがイエローストーンの特徴だ。
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3-2-2-1 オールドフェイスフルガイザー(1035~1105)
バスを下りると、オールドフェイスフルガイザーの周りに人だかりがあった。ということはこれから吹き出すのでしょうと言うことで、話も聞かずにとりあえず、皆椅子に座った。観客用オールドフェシスフルガイザーの周りを弓形に椅子が設置されているのだ。
「始めチョロチョロ中パッパ」という感じで、じっと待つこと25分あまり。こんなものかなあと思った頃にドーンと大きな噴出が見られた。こうなるとすごい。その様が約3分ほど続いてさっと収まった。そのときに虹が見られた。
周りでもいくつか噴出が見られた。
3-2-2-2 モーニンググローリーへ
それからまずは、モーニンググローリーを目指す。ほぼ直線のコースを急ぎ足で歩いて行ったが、勿論途中途中にはいくつかのプールや間欠泉が見られる。中でも、この国立公園で一番古い間欠泉と言われるキャッスルカイザーなど魅力的なものがある。
また、マディソン川の周りの風景も見逃せない。ちょうど色づいた草紅葉が空の青さと絶妙なコントラストを醸し出している。
ただ、こちらのコースは思ったほどの数は見られない。とにかくモーニンググローリーへとひたすら目指す道のようだ。
3-2-2-3 モーニンググローリー (~1150)
道のどん詰まりの所にある。ここまで約2.5km。写真で見てはいたが、この色の不思議さは実際に目にしてみないとわからない。奥が深い。
中心は、あくまでも青い。生物が住まないため透明で、空や周囲の緑がそのまま反射しているのだとか。周りはやや温度が低く、その高温に耐える特殊なバクテリアがいるため、黄色くなっている。一番外側は、茶色いバクテリアと鉱物(酸化鉄)の色だという。とにかく色の違いは全てバクテリアで片付けるガイドさんだ。
それにしてもこれが全て自然のなせる技だとは・・・。
3-2-2-4 モーニンググローリーからの戻り道
写真解説:チェインレイクス付近 洞穴カイザー ジャイアント・カイザー
クロマティック・プール ビューティー・プール エコノミック・プール
帰り道は道を変えて、たくさんのプールが見られる遊歩道を戻ってきた。
本当に青や、黄色などいろいろな色があり、写真を撮りまくっても足りないくらいだった。ただ、後で見ると、どれがどれなのかわからなくなる危険が一杯だ。
時間の関係で全て回ることが出来ないのが残念だ。もう少しここでゆっくりと時間を取りたかった。
ただ、間近でSAWMILLカイザーの噴出を体験できたのが良かった。体験というのは噴出した水(お湯?)を体に受け取ることが出来たからだ。始めは危険と思って逃げていたのだが、偶然体に当たったのが冷たかったので、次に中を通り抜けてみると、間違いなく冷たいのだ。空中に上がっている間に冷えたのかな、と思ったが、あまり油断していると危険かもしれないので、お奨めは出来ない。
3-2-2-5 昼食
昼食は、オールドフェイスフルインロッジという大きなログハウスで。ここの木組みは芸術的で素晴らしい。ここで、チーズバーガーとフライドポテト。これは大きかった。さすがに食べきれなかった。食事の後は自由時間というので、我が家は急いで食べてすぐ外へ飛び出した。
3-2-2-6 自由時間
外へ出てみるとちょっと先の間欠泉がちょうど噴出を始めたときだった。これが結構高く勢いよく上がるのでしばし見とれた。この間欠泉(当然名前があるのだろうが不明)、オールドフェイスフルよりも水量も高さも凌いでいるように思う。以前はオールドフェイスフルの方が大きかったのだろうが、たぶん時代とともにこちらの方が勢いを増したのだろう。見応えがあった。
それからオールドフェイスフルカイザーの方へ目をやると、来たときよりも多くの人々が待ちの体制になっているのですぐにそちらへ向かって場所を取った。
今度はすぐに勢いよく噴出した。先ほどのことを想定していたので、この突然の噴出には驚いた。しかも勢いも良い。ちょうど真上には雲が広がってきていたので、それと重なって見えて、地上と天が一体化した感じだ。
ものすごく得した気分。これを見られたのは、多分、我が家だけだ。
3-2-3 ミッドウェイガイザーベイスン(1450~1522)
その後、またガイドさんのサービスでここに連れてきてもらった。イエローストーンの紹介写真によく使われている所だという。junはその写真はモーニンググローリーのものだと思っていたのだが、ここのものだということだ。noriはそのことを知っていて、ここに一番来たかったのだという。
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バスを降りるともうもうと煙を上げている地帯があった。その煙は川まで1本の道を造っていた。沸き出している湯が直接川に流れ落ちていて、それもまたすごい光景だ。これは前座とも言うべき、「エクセルシオール・ガイザー」から流れ出ている湯だ。
その横に沿って木道が造られている。まるで煙の中を歩いているようだ。junの眼鏡など曇ってしまって拭きながら歩きながら見るのも結構大変だった。
その煙の上がっているプールはどうやら水色をしているらしい。更に進んでいくと煙は消えて鮮やかな色が目に飛び込んできた。これが目的のグランド・プリズマティック・スプリングだ。上の写真の一番右は英語版のウイキーペディアからの引用で、他の写真同様に拡大したものをクリックすると見ることができる。
直径が113mもあるという大きさなので、とても全体を写真に収めることは出来ない。また、先ほどのようではないがやはり煙が立ち上がっているので、写真を撮るのも難しい。それでもnoriは三脚にカメラを取り付けて高く掲げて何とかその姿を写そうと工夫していた。木道はその1辺だけを見てグルリと戻るように続き、周囲にある他の色とりどりのプールも見ることができる。最後の写真が、「ターコイズ・プール」で、その一つ前が「オパール・プール」で、あとは皆グランド・プリズマティック・スプリングのもの。
3-3 ウエストイエローストーン(1600~1645)
西口ゲートの所にある西部の面影をたっぷりと残している町。開拓時代を思わせる木造りの家が並び、ガソリンスタンドも雰囲気を壊さないように木造風にしてある。一年中観光客が訪れる町だそうだが、疲れていた我が家は特に買い物をするでもなく少しだけフラフラして後は座り込んでいた。写真は今では博物館になっている、かつてのユニオンパシフィック鉄道の、イエローストーンの西の玄関口に当たる駅。ここまで鉄道が延びていたと言うことだ。
3-4 エルク撮影タイム(1710~1720))
ホテルへ戻る途中、アメリカの国鳥というハクトウワシの巣があった。高い木の枝に作っている様は、コウノトリにも似ていた。その周辺を飛んでいる鳥をさして、あれでしょうとガイドさんは言っていたので、シャッターを押したが、小さすぎて確認は取れなかった。後日日本で写真を見てみると、頭が白いことが確認できた。ハクトウワシだった。
また、車が止まり、人が集まっている所に出会った。これは何かいますよ、ということでバスストップ。また、エルクだったのだが、しばらくは撮影タイム。もういいや、と思っていたjunだが、noriが先頭を切ってエルクに近づいていくので、仕方なくその後を追う。その後にバスのみんなもついてきていた。
どうせまたメスだけか、ゴロゴロしているオスだけだろうと思っていたのだが、初めて動き回っているオスを見た。立っていると角の立派さがわかる。
3-5 ホテル着(1840)
ホテルへ戻って、すぐに夕食だというので、部屋に荷物を置いて一休みしてからレストランへ行く。
3-6 夕食(1910~2020)
昨日に比べて混んでいて、全員でまとまってテーブルを囲むことは出来なかった。予約といっても、それほど厳密ではないようだ。
今日のメニューは鱒料理。
3-7 部屋で
部屋に戻ってからすぐに洗濯、荷作りをして、ビールで乾杯。この国はアルコールが異常に高いので、我が家はスーパーでまとめ買いをしてある。
今日も風邪薬を飲んで寝る。日本よりも新型インフルエンザがはやっているアメリカに来ているので、用心に越したことはない。